2019年3月5日 最高裁判所第三小法廷判決(高圧一括受電決議と専有部分電力契約解約義務の関係)
専有部分で使用する電力につき個別に締結されている供給契約の解約申入れを義務付けた集会決議に於いて、建物所有者が上記解約を申入れないことは他の建物所有者に対する不法行為を構成しないとされた事例。本件決議のうち建物所有者に個別契約の解約申入れを義務付ける部分は、専有部分の使用に関する事項を決するものであって、共用部分の変更又はその管理に関する事項を決するものではないとされたもの。参加管理組合から国交省補助で省エネ工事(サッシ及び給湯器)を検討しいるが共用部分との一体工事として規約の変更などの事例を要望。給湯器の交換は一般的に個人管理及び個人負担で一体工事として難しいのではと意見もあり。
2018年6月26日 東京地方裁判所判決(総会決議で承認されたコンサル契約の解除は総会決議事項か?)
マンションに於ける意思決定権限の所在ル-ルとして、コンサル契約の解除は本件規約の絶対的決議事項にあたらず総会の決議を経る必要はないとされたもの。絶対的決議事項で当たらない事項であっても理事会の決議を経て総会決議事項とすることができる相対的総会決議事項についての説明あり。
2018年10月24日 東京地方裁判所判決(滞納者が入院し、訴訟能力喪失し、死亡し、相続人が相続放棄した場合の処理)
特別代理人が選任された上で、管理組合による区分所有者権競売の申立てを認める旨の判決が下されたもの。
金融保険制度の対象となる預金等の範囲について
一般預金等の場合は1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1、000万円までとその利息が保険対象のため、修繕積立金の運用先として複数に金融機関に分散して預け入れる方が安全と言える。
各種金融商品の特性(安全性・流動性・収益性)について
安全で流動性ある普通預金及び定期預金等が基本となる。預金保険の対象とはならないが国債や住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」も収益性を考慮すれば運用先として検討の余地ありとの意見あり。
平成30年度マンション総合調査結果より修繕積立金の運用先について
「銀行の普通預金」78.7%と最も多く、続いて「定期預金」48.2%、「決済用預金」20.1%、「住宅金融支援機構のマンションすまい・る債」15.5%の順から、より安全・流動性を重視した運用の傾向と言える。
管理規約・細則に於ける資産運用上の制約事例について
規約に於いては「預金口座の開設」「管理組合の業務」「理事会決議事項」「総会決議事項」について主な制約事例を、細則に於いては「預金口座の種別」「取扱金融機関」「資産等の運用」「預金の運用」についてが主な制約の事例として発表をいただいた。
大規模修繕工事中の変動要素について、大規模修繕工事の流れ、工事中の変動要素、工事中の変動要素への備えの3項目について説明をいただいた。複数の施行会社に見積りを依頼する場合、項目・数量・金額欄等を揃えた同一書式で各社に依頼することが、後に比較し易すく便利とのこと。現場の確認は完成時のみではなく工事中のマーキング時に見学しておく必要ある。参加管理組合よりコンサルタントの決議について理事会に一任するのではなく、組合員のコミュニティ育成並びに後の合意形成を考慮して総会決議が望ましいと意見あり。 実態調査の結果としては、変動要素と工事請負契約、暫定数量の設定方法、実数精算契約と精算結果、変動要素に対する予備費、予備費の執行手続きについて説明をいただいた。予備費の設定について工事請負金額の10%程度のを設定割合が多いとのことだが、工事内容によって相違する。管理組合から専有部分を含めた給水管更新工事を実施した時、専有部分を現状復帰する義務があり想定外の費用を考慮して15%で設定、実際は11%の費用になったと貴重な情報提供があった。
台風15号・19号、熱帯低気圧による大雨の被害が続き、各管理組合がこれらの被害に対してどの様に対処されたか意見交換を実施した。管理組合が火災・風災・水災・地震等の保険に加入していれば申請すれば支払われる。その際、倒木・ひび割れ等は現場写真を撮っておくことが必要。また平成28年改正の標準管理規約で追加された災害時及び緊急時の対応(第21条6項、第54条1項10、2項)を参考に緊急時のための管理規約の見直しも必要との意見あり。
管理組合に適用される個人情報保護法
2015年に改正された個人情報保護法において、組合員名簿等を管理する全ての管理組合が規制の対象となったことから、主に管理組合に適用される個人情報保護法の第4章「個人情報取扱事業者の義務」について解説、合わせて名簿の取扱いとして名簿の種類、利用目的、管理及び配布について説明する。管理組合の対応として、管理規約に規定がない場合でも名簿の閲覧請求に応じる必要があること、組合員の閲覧請求が不適切なものと認められる場合は情報開示を拒絶できること、個別の事情によっては組合員の個人情報等を理由に閲覧の範囲を限定すべき場合もありえるなどの意見交換があった。
管理組合の個人情報に係る裁判事例
組合員が管理組合に対し管理規約に基づいて組合員名簿の閲覧を請求した事案(組合員名簿閲覧請求事件:東京地裁2017年10月26日判決)について解説をいただいた。
管理組合の広報・資料閲覧に係る留意事項
管理組合の広報活動において、理事会の議事録などに組合員等の個人情報やプライバシ-等がある場合は当該部分を伏せることに留意が必要。また総会議事録の広報においても、議事録に組合員等の個人情報やプライバシ-等に関する記載がないかを確認、記載がある場合には該当部分を伏せて配布する等の対処が必要とのこと。
通常の滞納問題
標準管理規約の別表にあるフローチャートに従って対応。管理会社に対応を依頼している場合でも管理委託契約書で期間と内容が限定されているので、期間経過後の対応は理事会に義務がある。消滅時効などで回収不能となった場合、理事の責任を問われないよう注意が必要となる。
高齢化に伴う滞納問題
2019年10月改定の概要
各保険会社の改定の特長、保険料の増加(建築年別保険料、各社保険料比較)について案内、また保険料が大幅に値上げする理由をご説明いただいた。マンションの事故の特徴としては、発生事故の約40%が給排水設備からの水漏事故で、事故原因の典型例として、配管の老朽化による錆穴の発生、配管連結部分への付加による継手破損であり、事故の真の原因は築年数ではなくメンテナンス・修繕の不足によるものであると説明。多くの管理組合では保険料の上昇幅を抑制するために保険金の減額や補償内容の縮小で対応しているのが実情で、単純に築年数だけで決まる保険料で不公平感がありメンテナンスの状況によって保険料が変わる仕組みが要望されていた。マンション管理士としては中立性な立場として管理・修繕状況を正確に診断する必要があり、診断結果を管理組合に提出することで、管理組合からは組合運営の課題を明確にした専門家の助言・提案が期待されている。
損害保険の基礎知識
火災保険の概要、マンション共用部分用火災保険の概要をご案内いただき、特約として管理組合の賠償リスク(共用部分)に対応した建物管理賠償責任補償特約について、区分所有者の賠償リスク(専有部分)に対応した個人賠償責任総合補償特約についてご説明をいただいた。個人賠償特約については保険料が高めとなるが漏水事故が多い現状から加入は70%になるとのこと。また管理組合によっては各居住者の保険加入状況を確認の上、個人賠償特約を付帯しないケースもあるとのこと。
植栽管理に係る留意点として
植栽作業価格の検証について、植栽作業による事故防止対策について、横浜市の条例等による留意、伐採に関する総会決議の必要性について。
植栽に関する裁判事例として
樹木伐採禁止等仮処分命令申立事件(2007年11月5日 東京地裁八王子支部)専用庭野菜栽培等確認等請求事件(2016年11月26日 東京地裁)
植栽の管理と再整備について
マンションと植栽、マンションの植栽管理の実際、植栽は中長期的計画で管理。
団地型管理組合から長期管理計画推進委員会報告書について発表を頂いた。理事会は1年間の業務執行を、委員会は中長期的な計画及び立案について役割を配分、委員会は5部会(推進委員会・組織部会・資金部会・コミュニティ部会・建物設備部会)から構成され、各々専門分野に特化された報告内容であった。報告書を毎年全戸に配布することは委員会の活動を組合員に可視化するもので、コミュニティ及び合意形成の一環として大変有効になるものと思われた。理事会の諮問機関にとどまらず委員会が能動的に活動されていることで、組合運営としてバランスのとれた構成であると印象であった。長期管理計画の概念及び位置付けについて、長期修繕計画期間25年、30年等のハ-ド面の計画であるが、マンションを取り巻く事情の変化に対応した柔軟なマネジメントや再生の円滑な合意形成の為に、ソフト面を含めた新たな計画システムの構築の必要性を国土交通省が提案しているものである。即ち、長期修繕計画のマスタ-プランであり、建物維持管理の長期ビジョンとして位置付けられる。
理事の負担を軽減する目的から「理事が知っておくべき裁判例」として事例を紹介
大規模修繕工事ハ-ド編
大規模修繕は躯体の保護部分の改修工事であり回数を重ねるごとに改良の割合を大きくした改良工事とすることが重要。第1回目大規模修繕(築10~15年外壁改修工事主体)、第2回目(築24~30年外壁改修+設備改修※給水排水設備の改修検討)、第3回目(築36~45年改良+更新※排水設備の改修)、第4回目(築48~60年改良+更新※電気配線の引き替え)の周期ごとに各修繕項目を説明された。
横浜市分譲マンションの耐震診断支援事業について
支援制度の対象マンション、支援制度の流れと概要、耐震診断の流れなどを案内された。
大規模修繕工事ソフト編
合意形成と会議の在り方、長期を見据えた改修工事事例、インフラ工事説明とソフト対策について。合意形成手法を多くの人が持っていないのが現実、高経年マンションの合意形成の難しさを解決するためにも、委員会の会場は何時も新人が入ることにより活性化する。開放すべきである。自由な話し合いの場(会議)のル-ル、会議に参加した方達全員が何らかの方法で発言できる体制作りなどの意見をいただいた。